今さら聞けない?¦新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」とは何か

新型コロナウイルス感染症対策として厚生労働省が普及を進めている接触確認アプリ「COCOA」。厚労省によると8月5日現在、ダウンロード数は計1,157万件(複数回のダウンロード含む)、陽性登録件数は135件だという。COCOAは厚生労働省自らが提供しているアプリのようだが、一体どのようなものなのか?COCOAについてまとめてみた。

新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」の厚生労働省ポスター

接触確認アプリというので、スマートフォンにインストールしておくと感染者と接触した時に教えてくれるのかと思いきや、そうではなく、過去2週間にPCR検査の陽性者と接触があれば通知されるアプリなのだそうだ。さらに通知はあらゆる陽性者との接触が対象というわけではなく、スマホにCOCOAをインストールしていて、かつ保健所から交付されるPCR検査陽性の処理番号をアプリに自ら入力した陽性者に限定される。なのでアプリをインストールして通知がこないからといって陽性者と接触していないということにはならない。8月5日時点のCOCOAの陽性登録件数は135件、つまり8月5日の時点では135件のスマホと接触したスマホのうち、COCOAがインストールされているスマホに接触通知が送られていることになる。ちなみに接触とは1メートル以内の距離に15分間以上、互いのスマホがあった状態を言うようだ。

全国で毎日1000人以上の陽性者が出ている中で、COCOAに登録された陽性件数はまだ135件なので、効果を疑問視する向きもあるかもしれないが、報道によればCOCOAで接触通知を受けた千葉県の20代女性がその後、発熱したため地元行政の相談センターに連絡しPCR検査を受けて陽性が判明したというケースが7月にあったという。COCOAの通知がコロナ感染の早期発見につながったといえ、COCOAはすでに効果を発揮しており、今後、普及がさらに進めば無症状や軽度の感染者を早期に発見し、感染拡大抑止のための効果的なツールになり得ると期待されている。

一方でCOCOAの通知は、陽性者と1メートル以内の距離に15分間以上いた可能性を告知するだけなので、特に症状が出ていないケースにおいて率先して自身の感染の有無を確かめようとするだろうか?という疑問もある。実際、報道された千葉県の女性のケースでもCOCOAの通知を受けた段階では行政に相談をしていないようなので、もし発熱せず無症状のままだったら陽性とは知らずに過ごしていたかもしれない。また、COCOAの通知を受けた場合、どのように対応すればいいのか?よくわからないということもある。厚労省のコールセンターによると、最寄りの保健所か、同コールセンターに相談して欲しいとのことだ。また、COCOAでも接触通知と合わせて同様の案内が表示されるようである。

COCOAは近距離で通信を行うBluetoothの機能を使って互いのスマホを認識し、その通信履歴から通知を行うようだが、COCOAが発出する通知の正当性や正確性がどのようにして担保されているのかよくわからないということもある。COCOAの通知とはつまり、「あなたは新型コロナウイルスの陽性者と接触した可能性がありますよ」というものだ。この通知は重大なものにもかかわらず、通知が正当であることの裏付けがどのようにして行われているのかよくわからないのだ。通信には障害や誤作動が生じたり、ケースによっては外部から意図的な操作が行われることもあるので、誤通知がないのか気になるところだ。通知を受けた人がPCR検査を受けて陽性であれば、接触があったのかどうか保健所等で実際に確認をすることが可能と思われるが、陰性だった場合、接触はあったけれど陰性だったのか、そもそも接触自体なかったのか、その点が特定されるのかどうかも含めてよくわからない。

新型コロナウイルスの感染を抑制するためには、若い世代を中心とする無症状や軽度感染者への対策が急務と言える。COCOAは普及が進めば、そうした若い人たちに向けた対策の有効なツールとなり得ると思われるが、アプリだけでは対策にならない。アプリの普及と合わせてその有効性や仕組みについてきめ細かく確認しつつ広報することや、接触の通知を受けた人が気軽に相談や検査を受けられる環境や態勢を整えることが重要ではないだろうか。

(編集部)

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