損して得取れーー。経済合理性の観点からも「緊急事態宣言」再発令を

日本の新型コロナウィルスの拡大が止まらない。10日で1万人強のペースで、このままでは鼠算式に増加し重傷者が少ないとはいえ、医療崩壊も時間の問題になってくる。しかし、政府は感染拡大の中でも、「重傷者が少ない」として経済優先であり、実質的に感染増を容認する姿勢を見せている。(山場豊信)

 経済とコロナとの両立ーー。言うは易しだが、現実には経済を取って感染拡大傾向を無視するという事態になりつつある。「コロナが人と人との飛沫感染が大半である以上、経済活動の拡大と感染者増は正比例の関係にあります。そして感染拡大によって結局は自粛を余儀なくされ、永久にそのシーソーゲームが続き、かつての経済水準を取り戻すことはできないだけでなく、人口の4割を占める高齢者はずっと巣篭もりを強いられ、それによる健康悪化と経済損失も甚大でしょう」(シンクタンク関係者) 

では、どうすればいいのか。同関係者は続ける。「やはり、4月のように緊急事態宣言を発令して国民全体で危機感を高め、ある程度、補償をセットにハードな自粛をして、新規感染者を減少させていくしかありません。クラスターを抑え、一人一人が接触感染を抑える努力をして、新規感染者を減らしていき、1人が何人に感染させるかの再生産数を1人以下にできれば、物理的にはゼロ人に向かって収束することになります」

しかし、ここまで増えた陽性者を今更ゼロにすることは可能なのか。「確かに日本では緊急事態宣言を出し、欧州ではロックダウンをしましたが、結果的に根絶には至っていません。しかし、これは理由は明快で途中で経済優先のあまり、措置をやめてしまったからです。日本では残り20人程度というところの1か月半でやめてしまいました。一方、ロックダウンが成功したとされる中国の武漢ではゼロ人になってからも1週間続ける徹底ぶりで、今のところ新規陽性者は入国者くらいです。日本は解除が早すぎたのです」(医療ジャーナリスト) その中国では、低迷する世界経済を尻目に、ロックダウンの解除とともに経済は反転。4−6月のGDPでが、なんと前年比で3.2%のプラス成長を記録した。早めに緊急事態宣言を解除した日本では早くも第二波としてコロナがぶり返し、このまま終わりのない低迷が続きそうだ。「4−6月期の国内のGDPは民間予測で年率換算でマイナス27%の落ち込みでした、これはだいたい半分の期間が緊急事態宣言下の自粛期間中でその間は35%程度、そして今のようなソフトな自粛期間はマイナス20%程度ではないでしょうか」(経済誌記者)

つまり、3か月、年率換算でマイナス35%程度マイナスのハードな自粛を耐え抜いて、以前に近い生活や経済を取り戻すか、ずっとウィルスの恐怖に怯えながらマイナス20%程度の低迷経済をwithコロナと自分に言い聞かせて陰鬱の日々を送るか、どちらに優位性があるかは明白だ。

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