リスザル12頭は依然として行方不明のまま…伊豆シャボテン動物公園

 伊豆シャボテン動物公園(静岡県伊東市)で放し飼いのリスザルが行方不明になって1カ月経つが、発見につながる有力な手かがりは依然として得られていないようだ。園は盗まれたと判断しており、解決につながる有力情報には最大100万円の謝礼金を準備している。

サボテンや多くの動物と親しむことができる伊豆シャボテン動物公園=静岡県伊東市

 「リスザルを園内で放し飼いにして展示する方法は55年前に先輩たちが成功させたスタイルです。放し飼いにしているので過去には園内の森で死んでいたケースもありました。けれど12頭ものリスザルがいなくなることはあり得ないこと。盗まれたとしか考えられません」と伊豆シャボテン動物公園の中村智昭園長は話す。

 20万平方メートルの広大な園内では温室で栽培しているサボテンとチンパンジー、リスザル、ミーアキャット、カピバラなど40種類もの動物を見ることができる。リスザルは計45頭いて、群れごとに11頭と9頭が池の中の2つの島でそれぞれ暮らし、25頭を園内で放し飼いにしていた。放し飼いといっても25頭は群れで生活しているので園内でバラバラに散らばってしまうことはないということだ。リスザルはボリビアリスザルとコモンリスザルの混血種だという。

 「事件」が発覚したのは1月19日の朝だった。毎日の日課として飼育員が放し飼いにしているリスザルの餌やりの時に個体数を確認し2頭いないことが発覚した。餌やりの時に必ず個体数を確認していて前日夕方の餌やりではすべてのリスザルを確認していたという。過去には寒さなどによって放し飼いのリスザルが死亡していたケースもあったため園は当初、「事故」も視野に園内を捜索したようだ。

現在、池の島のリスザルは見ることが出来るが、放し飼いのリスザルは非公開となっている

 ところが翌々日の朝、さらにもう1頭いなくなってしまった。園の周囲はフェンスで囲まれていてフェンスの上には電気柵が設置されているためリスザルが園の外に逃げるとは考えにくい。仮に外に出たとしても園の中に餌があることを知っているため園の近くにいるはずと中村園長は言う。しかし、園の周辺を含めて捜索したがリスザルの気配はなかったという。

 さらに22日の朝になって、さらに4頭がいなくなったことが発覚し、ここに至って園は警察に通報したのだった。「周辺には野生のキツネやハクビシン、タヌキなどの動物もいるので、こうした動物が園内に入ってしまったことがこれまでありました。そうした動物がもしリスザルを襲ったのならなんらかの痕跡が残っているはずですが、そんな痕跡もありませんでした」と中村園長。地元の伊東警察署の警察官が臨場して園の周囲の柵などを綿密に調べたという。

 ところが警察に通報した翌日、1月23日の朝にさらに5頭がいなくなり計12頭が行方不明の状態だ。いずれも閉園から朝までの間にいなくなっている。「可能性を消去していくと連れ去られたとしか思えない。夜間に人が園内に入ったという証拠はないが人が入らなければそんなことはできない」と中村園長。園内には防犯カメラも設置されているが全域をカバーしているわけではなく、フェンスも乗り越えることは不可能ではないという。しかし、夜間、照明もない状況でリスザルを捕まえることが可能なのだろうか?「放し飼いにしているリスザルはお客さんから餌をもらったりしているので人に慣れていて人懐っこいところがあります。ただし、捕まえようとしたら噛みつかれるので素人が捕まえることは不可能です。リスザルの扱いに慣れた人でないと無理でしょう」と中村園長は言う。

中村智昭園長

 園は盗難を強く疑っており、警察も園と連携して対応しているようだが盗難の明らかな証拠がないため盗難の被害届けを受理して捜査をするには至っていないようだ。「盗難であれば目的は売ることしか考えられない。国内にはリスザルのブリーダーもいて数は多くないですがリスザルの売買、流通もあります」と中村園長。情報の提供を広く呼びかけていて有力情報には最大100万円の謝礼を支払うという。情報提供は伊豆シャボテン動物公園(電話0557-51-1111)。詳しくは伊豆シャボテン動物公園サイト「リスザル達が行方不明です」。同園では現在、リスザルの放し飼いを中止しており、放し飼いにしていたリスザルを非公開の場所で飼育している。一方、池の島で暮らしている11頭と9頭のリスザルについてはこれまで通り公開している。

(三好達也)

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