考察「政府・財務省が増税を目指す本当の意味」〜予算制度から見た、増税で確実に得をする者たち

今年10月に控えた2%の消費増税。消費税を増税すれば、確実に景気が冷え込む事は歴史が証明している。それにより、見込んでいた所得税や法人税など、他の税収が減っていく。それでもなぜ、政府財務省は増税を繰り返すのか。    〈文責/山場豊信〉

よく、増税により、景気が悪化して結果的に税収も減るのに、本末転倒な増税をするのは「政府・財務省がバカだから」という記事を目にする。本当に財務省は学習能力のないバカなのか。そうは思わない。

予算制度から「税収」を考えて見よう。増税をすれば、次年度の見込み税収が増し、使える予算が増える。予算が増えるということは、財務省にとっては予算編成権、つまり既得権が増えるということに繋がる。ここまでは考えるまでもなく、法律を元にした制度である。一方で不景気などで税収が下がれば、当然予算も減るだろうと考えるのが一般の感覚ではないだろうか。しかしこれがところが、一度増えた予算総額は例えその後、税収が減ろうが、基本的には減ることはないのである。これは右肩上がりを続ける総予算を見ても明白だ。税収が減った分は国債で穴埋めされるから、予算上は景気悪化によって税収が減ろうが、直接、問題はないのである。

つまり、財務省の立場から考えると、次年度に確実に税収増が見込める増税は「確実な権限拡大に繋がる」という事である。だから常に財務省は政府に増税を働きかけるのであるとも考える事ができる。

この状況を可能にしているのは日本国債の買い手がまだいるからである。いよいよ買い手がいなくなればどうなるか。金利が上昇し、債券価格が下落し、大量保有している銀行に莫大な評価損が発生し、貸し剝がしが行われ、未曾有の不景気になるはずだ。

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