確定申告の注意点 〜〜経費率は?住んでいる地域は?領収証がなくてもOK?

そろそろ3月を迎える。3月といえば、辛いのは花粉症と確定申告だ。花粉症は最近、効く薬が出てきていて昔と比べると随分とましになったと聞くが、どうにもならないのが確定申告だ。


個人事業主にとっては税理士を雇える”成功者”は節税もお任せで楽チンだろうが、そうではない白色申告の個人事業主にとっては煩雑な作業がそろそろ佳境に入る頃だろう。
節税の基本は何と言っても経費をどれだけ計上できるかに尽きる。収入に対して3割前後が相場だと言うが、5〜7割、場合によっては9割以上で中には赤字する猛者もいる。

経費を計上しまくって恐ろしいのは税務署からのお尋ね。いったい、何%以上だと税務署から目を付けられるのか。これには諸説ある。「住んでる自治体による」「税務署職員の気分」「ノルマがあるので、年収数百万円の貧乏人はそもそも相手にしない」・・・。果たして正解は?


「どれも正解と言えば正解でだが、個別性が高く、実際はなんとも言えない。ただ大雑把に言えるのは消費税の課税ラインである売上1000万円には目を光らせていると思った方がいい。これをスレスレでやっていると他に収入がないか調べられる可能性がある。やはり、消費税は預かっているもので、これを納めないのは課税所得を圧縮するより、悪質性が高いと判断される。ノルマ的な目標ももちろんあります。やはり額が少ない案件に人的資源は割けない部分はありますね。ただ、経費率が7割以上とかだと、仮に額が安くても『おたく、どうやって生活しているの?』と尋ねられる事はあります」(税務関係者)


なるほど。では住んでいる地域はどうか。「これも実際は大きな要素と言えるでしょう。例えば東京都港区や千代田区は所得層が高く、年収700万円でも平均以下ですが、田舎に行くと700万円でも平均の倍近い自治体があり、当然目立ちます。田舎の自治体であればあるほど、やたら経費率が高いなど、怪しい点があれば調べられる可能性は都会より高いとみて間違いないでしょう」(税理士) 

自治体が商業地を抱えているかどうかでも違うという。「東京で言うと、例えば新宿区は新宿駅近辺や四ツ谷や高田馬場など商業拠点が多く、税務署職員は圧倒的に法人担当が多い。丸の内や大手町を抱える千代田区もそうです。一方で、港区も商業地は六本木などですが、千代田区ほど大企業が多い訳でもなく、どちらかと言えば高級住宅街に住む富裕層に目を光らせています。世田谷は住宅地域で、個人部門が多いですが、人口も多いので目立ちすぎなければ大丈夫でしょう。港区で用心した方がいいのは、税理士を雇い、対策がバッチリの人より急に金回りが良くなったような人でしょう。今メディアを騒がせている青汁王子もそのパターンでしょう。また、大物を摘発するために、SNSをチェックすると言うのは今や基本です」(同)


また、所謂、「税務署は泳がせる」と都市伝説のように言われるが、実際どうなのか。「基本的に、意識的に泳がせると言うのはないでしょう。国税は異動が多く、わざわざ他人の手柄のために泳がせる事はありません。ただ、怪しい税処理をしても期間が短いと課税できる金額と手間が割に合わず、見逃していたらそのうちに額がたまり、あらためて動く可能性はあるでしょう」(前出の税務関係者)。昨年までは大丈夫でほぼ例年通りに申告していてもいきなりお尋ねにも注意は必要なようだ。


気をつけたいのは、経費率も極端だと目を付けられ易いと言えるが、重要な事はちゃんと合理的に説明できるか、領収証などで正当な出費である事を証明できるかが重要だ。さらに前出の税理士はこう付け加える。「気をつけるべきは、前年までとの”変化”です。いきなり経費率が上がっていれば何かあるのかと疑いの目が向けられます。では逆に、今年から正直に報告しようとして経費率を控えめにすると、『じゃあ昨年までは嘘だったの?』となって最悪のケースだと7年遡って調べられる事になるので注意が必要です。あと、意外に知られてないのは領収証はマストではありません。実はクレジットカードの明細でも構いません。要は出費を証明できればいいのです」 

フリーランスにとっては確定申告をして税金を確定させるのはもちろん義務。ただ、必要な経費は申告しないと、所得税の還付もないどころか、住民税の負担も重くのしかかかる事になる。賢く申告して、税金は安くあげたいものだ。(高杉吉政)

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