私の関心は動物ではなく…神戸市長ツイートで「炎上」の王子公園再整備計画の行方

ジャイアントパンダのタンタンなどが暮らしている王子動物園を含む王子公園について神戸市は再整備を打ち出し、昨年末に再整備基本方針の素案を発表したが、各方面から批判が殺到しており、神戸市の今後の対応が注目されている。

公園の多くを動物園が占めているのになぜ?

王子公園の再整備への批判に火がついたのは久元喜造市長自らが昨年11月23日に発信したツイッターのこんな投稿だった。

2013年11月、市長になった直後の出勤途上、王子公園に立ち寄りました。動物園長は親切に園舎を案内してくれましたが、私の関心は動物ではなく、王子公園全体の再整備にありました。あれから8年、大学誘致などの再整備基本方針の素案をとりまとめました。各方面のご意見をお聞きし、具体化を図ります

現在の王子公園【①体育館②ちびっこ広場③弓道場④わんぱく広場⑤北獣舎(動物園)⑥テニスコート⑦旧ハンター住宅⑧補助競技場⑨相撲場⑩神戸登山研修所⑪プール⑫王子動物園⑬神戸文学館⑭駐車場⑮王子スタジアム⑯原田児童館】=神戸市「王子公園再整備基本方針(素案)」より

王子公園は約19.4haの面積を有しているが、うち8.1haを王子動物園が占めている。王子公園の再整備となれば王子動物園が主要なテーマとなるはずなのに、「動物に関心はなく…」と投稿した市長のツイートに王子動物園を愛する地元をはじめ全国のファンから疑問と批判の声があがったのだ。そして、王子公園の再整備は、再整備に名を借りた大学誘致なのではないのか?との疑念が広がっていった。こうした背景には、地域の水族館として親しまれてきた神戸市の須磨水族館がリニューアルと称して民営化され、民間企業によって実質的に観光目的のアミューズメント施設へと様変わりしようとしている事実があった。

プールもテニスコートも陸上競技場も廃止

王子公園再整備基本方針(素案)にて示されたゾーニング=神戸市「王子公園再整備基本方針(素案)」より

久元市長の王子公園再整備に関するツイッター投稿に対する批判は、その後、12月に市が発表した再整備基本方針の素案に対する反対の声となってさらに大きくなっていく。素案は、親子連れの憩いの場となっている動物園敷地内の遊園地や地域の住民や学校が利用しているプール、テニスコート、陸上競技場などを軒並み廃止し、動物園の面積も縮小して大学を誘致し、アメリカンフットボールのスタジアム、立体駐車場を建設するという今の王子公園を一変させる内容だったからだ。これには地域住民や近隣の学校等からも反対意見が寄せられ、また、王子動物園の元飼育員で現在、よこはま動物園ズ―ラシアの園長を務めている村田浩一氏ら専門家からもSNSなどを通じて反対意見が表明された。

12月に発表された素案に対して市の意見募集が始まると、ネットで拡散され、多くの意見が市に寄せられた。意見募集の締切日はくしくも阪神・淡路大震災から27年目となった1月17日。王子公園は震災時、自衛隊の駐屯地として使われた経緯があることから、震災の記憶は防災機能としての公園の重要性を再認識させ、大学誘致とスタジアム建設に主眼を置いた市の素案に改めて疑問を投げかけた。

神戸市「市の考え方をまとめて2月下旬頃にHPに掲載」

素案のまま再整備が進めば観覧車が回る遊園地もなくなることに…

素案に対する市への意見表明にとどまらず、神戸新聞の報道によると近隣の小中高校の陸上部では陸上トラックを廃止しないよう市長に宛てた嘆願書を提出するという。また、テニスコートの存続を求めた署名活動も行われているようだ。ネット上では地元自治会長らが「みんなの王子公園&動物園の会」をつくり「王子公園、王子動物園のこれからをみんなで考えるため力を貸してください!!」と呼びかけてキャンペーンを展開、すでに7000人を超える人たちが賛同している。王子公園再整備基本方針の素案に対する多くの反対の声に神戸市はどう応えるのか?神戸市は「市の考え方をまとめて2月下旬頃にホームページに掲載させていただく予定」としている。 (編集部)

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