マンション「負動産化」の真犯人?!マンション管理会社のビジネスモデルのヤバさと管理費減額の方法

マンションの資産価値を良くも悪くも決定付けるのは管理だ。管理を担う区分所有者で構成される管理組合と、管理の実務を委託される管理会社の役割はとりわけ大きい。しかし、現実には資産価値には気にするが、管理体制にはほとんど関心を寄せていない所有者が大半だ。そうした無関心がマンションの”負動産化”に繋がってしまうのだ。

(山場豊信)

「分譲マンションの9割近くの所有者が自分たちのマンションの管理費の予算がどのように使われているか、何を根拠に費用が決められているかを理解していません。管理会社の説明を聞いてなんとなく正しいものだと思い込んでいますが、そこに大きな落とし穴があるのです」こう語るのはマンション管理コンサルタントのA氏だ。

「大前提として、区分所有者からみればマンション管理会社は管理を請け負うサービスの会社と思っていますが、管理会社自体のビジネスの実態は手数料収入を生業とした代理店業に近い業態で、実際の業務は単なる窓口と取り次ぎ業務だけです。実際の管理業務は、例えばエレベーター保守や清掃など、それぞれの事業会社に外注しており、その差額を手数料として得る(中間マージンやバックマージン)ビジネスなのです。管理報酬は確かに受け取りますが、そこは少額で、中間マージンやバックマージンこそ、管理会社が委託元の管理組合から受け取る収益の本丸なのです。これは依頼者である管理組合とは利益相反の関係で、管理の質を下げれば、その分、管理会社の利益になったります。また、理事会支援業務も実質的には単なる営業活動の場でしかなく、本来、必要のない工事や業務でも、自社の手数料収入のために『必要だから』と提案されてしまう側面もあるのです」(同)

マンションの総会資料を見れば、管理費の内訳がわかる。それらの費用をネットなどで相場をみればたいていは割高なはずだ。もちろん、こういう業態と言ってしまえばそれまでだが、問題は管理組合がそうした構図に気が付いていないということだ。管理会社が仲介する修繕工事費など、工事業者に実費と信じていた価格が実は管理会社のバックマージンがふんだんに含まれていたなら、それは健全な取引とは言えないだろう。費用に過大なバックマージンが含まれている分かれば、管理組合が直接、マージンがかからない相見積もりを取るなどして、費用を節約する選択肢もあるのに、そこが見えにくいと、機会損失が大きくなってしまう。

「とにかく管理会社をパートナーや性善説でみるのは間違いです。単なる自社の利益最優先の営業会社でしかありません。マンション管理のサポートという『良かれと思って』という体で、管理支援を大義名分に営業攻勢をかけてくるので、大半の管理会社の実態を知らない理事や理事長も流されてしまいます。必要度の低い設備更新事業も『万が一のため、もしものことがあると理事会の責任になりますよ』などと言って不安を煽って所有者から集めた管理費をかすめとっていくのです。管理に必要と信じて支払う管理費の積み立てたお金のかなりの部分が実は管理会社の利益に消えているのです。正直に言うと、シロアリと思うくらいがちょうどいいでしょう」(A氏)

そんなシロアリ管理会社に巣喰われているマンションの分かりやすい特徴が維持費(管理費+修繕費)が高いマンションだ。良かれと思って管理にお金をかけていても、その維持費が高いと、中古マンション市場では敬遠されてしまうので、結局は資産価値が下がってしまう。

「例えばセントラルヒーターとか、温泉を引いているなど、よほど高くなる明確な理由がない限り、平米400円を超える維持費のマンションは管理会社がぼったくりすぎを疑うべきです。もちろん、それらしく説明はするでしょうが、他物件と比べて高すぎれば、限りなく黒です。こういう場合はいくら説明を聞いても意味がないので、さっさと成功報酬で持ち出しなしのコンサルもあるので、そういった専門家に依頼するなどして、他の管理会社から見積もりをとって交渉することをお勧めします。『比較』が何よりの交渉の武器になります」

そうはいっても、改革には理屈通りにならない障壁もある。例え、理事になって改革を訴えても理事長はじめ、理事会の意見集約なくして、理事会の方針は決まらない。A氏が言う。

「理事会の意見集約が一番の難関です。というのも、管理会社にとっては、管理費の減額要求や管理会社の変更を何よりも恐れます。契約維持しているだけで自動的に一定額の中間マージンを得られる委託管理契約の維持こそ、管理会社ビジネスの根幹です。なので必死に改革の芽をつぶそうと、理事会の分断工作を仕掛けてきます。中間マージンや利益相反的な部分は構造的な事実なので、そこに対する議論は避け、意見をいった人物や否定的な意見をいう事自体を問題視するように論点すり替えをするなどして、理事会に改革をしない方向に誘導していくのです。また、管理会社は自分たちのいない場で理事らが勝手に交流を持つことを恐れています。というのも管理組合に不利で管理会社に有利な契約を続けるには、理事たちが意見交換して知恵を付けられたり、管理会社への反感が醸成されたりすると都合が悪いのです」

その上で、A氏は管理会社に対する改革のコツを明かす。「理事だけで意見集約の場をなんとか設ける事です。理事長が改革に積極的なら話が速いのですが、そうでないなら、理事会の後などに個別に話が分かりそうな理事に話をして、徐々に多数派を形成するような根回しが重要です。理事でなく、一般の組合員であれば、理事に知己を得てそれとなく意見を聞いてみるのも手かもしれません。理事長が逆に管理会社に味方するようでも、理事会で多数派であれば理事長を解任することも可能です」

自分のマンションの資産価値を守るのは楽ではない。


(なお、記事に興味を持ちマンションの改革をされたい場合は問い合わせからメッセージを頂ければ無料相談を受け付けます) 

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