精子動画を使った男性の不妊診療をオンラインで行う世界初となる試みを株式会社TENGAヘルスケア(東京都港区、間野洋平代表)と医療機関が共同でスタートさせた。日本人男性の5人に1人の割合で不妊リスクがあるとも言われている。少子化の問題ともからみ男性妊活は喫緊の課題なのだ。クリニックで精子の検査を受けることに抵抗を感じる人もオンラインなら手軽に受診が可能なので男性妊活が進むものと期待される。
【TENGAメンズルーペの使い方】
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![]() ①精液を採取する |
![]() ②ルーペとプレートをセットする |
![]() ③精液をプレートに垂らしてスマホのルーペにセットする |
![]() ④スマホの画面で精子を観察する |
性の健康をサポートする株式会社TENGAヘルスケアは、株式会社TENGA社内ベンチャー時代の2016年にスマートフォン用精子観察キット「メンズルーペ」を、泌尿器科医の小堀善友医師の監修のもとで開発、商品化した。これは男性が自身の精子の状態をスマートフォンを使って見て、観察できるというもの。商品化の意図についてTENGAヘルスケア広報の本井はるさんは「男性妊活の最初の一歩として、一度自分の精子の状態を見てもらおうということだった」と話す。
欧米の男性の精子が40年で半減したとの学術論文もあり、また、日本においても男性の約5人に1人がWHO(世界保健機関)の定める精子濃度・精子運動率の基準値を下回っているとされる。自分の精子が大丈夫かどうか実際に見て、問題があれば医師に相談して男性妊活を進めようというのがメンズルーペの狙いだ。
メンズルーペを使うと、自宅で自ら採取した精子が泳いでいる映像を550倍に拡大してスマートフォンに映し出すことができる。メンズルーペのウェブサイトには、平均的な精子濃度の映像から乏精子症や精子無力症のケースの映像が紹介されているので、それら映像と自身の精子の映像を比較して、自分の精子に問題がないか自らの状態を知ることができるのだ。しかし、これまではそこまでで、その後は医師を訪ねて受診しなければならなかった。
今回、TENGAヘルスケアは小堀医師が所属するプライベートケアクリニック東京(東京都新宿区、北村唯一理事長)と共同で、スマートフォンに映し出された精子映像をネットにアップロードすることで精子の状態を医師が検査し、さらにオンラインで医師が問診しカウンセリングにも応じるシステムを構築、6月24日からサービスをスタートさせた。
「男性不妊を診断する医師が地方には多くないのが実状。オンライン診療なら地方在住の方も受診することができるので、多くの方に利用してもらいたい」と本井さん。勃起不全(ED)治療薬やサプリメントなどの処方やカップルでのカウンセリングにも応じるという。
男性不妊のオンライン診療の取り組みの背景には、新型コロナウイルス感染症対策として厚生労働省がオンラインでの初診診療を時限的に解禁したこともあるようだ。今回の男性不妊のオンライン診療は自由診療のため保険適用外で、初診診療をオンラインで行うことも規制の対象外だが、TENGAヘルスケア広報の本井さんは「新型コロナで医療のオンライン化が進み、環境が整ってきたことがサービスをスタートさせる後押しになった」と話す。
新型コロナによって妊娠を控える女性が増えているとの調査結果も報道されているが、一方で新型コロナによるオンライン化の広がりが男性不妊診療にも波及したともいえ、新型コロナは性生活にも様々な影響を及ぼしていきそうだ。
男性不妊オンライン診療の受診予約はこちらのサイトから。費用はいずれも税別でオンライン診察料3,000円、カウンセリング料(20分)10,000円。また、メンズルーペ(税別価格1,500円)はTENGAヘルスケアオンラインストアやアマゾンなどで購入することができる。担当するプライベートケアクリニック東京の小堀医師は「不妊症の原因の半分は男性にあります。早期に不妊症を発見し適切な治療を受けることが、お子様を授かることができる近道です」とアドバイスしている。
(編集部)