タリバン新内閣の閣僚ポスト 米国などは懸念を深める

タリバンは9月7日に暫定政権の樹立を宣言し、新内閣の閣僚ポストを発表した。しかし、それは明らかに米国などが懸念する人事と言える。タリバンは、国連の制裁対象に指定されているタリバン幹部であるモハマド・ハサン・アフンド師を首相に、FBIが指名手配しているイスラム武装組織ハッカニ・ネットワークの指導者シラジュディン・ハッカニ氏を内相に、タリバン共同創設者のアブドゥル・ガニ・バラダル師を副首相に、タリバンの創設者で最高指導者だった故オマル師の息子ヤクーブ師を防衛相にそれぞれ指名した。

また、タリバンの最高指導者ハイバトゥラー・アクンザダによる英語の声明文も公表され、イスラム教のシャリアに基づく国家統治をおこなっていくことが明らかになった。 タリバンがどんな政権運営をしていくかは未だに分からないところがあるが、この人事に米国をはじめとする諸外国は懸念を強めていることだろう。既に米国のブリンケン国務長官は、閣僚たちはタリバン関係者のみで占められており、また女性が1人もいないとして懸念を示している。おそらく、他の欧米諸国も同様だろう。

欧米諸国だけでなく、それと対立する中国やロシアもタリバンがハッカニ・ネットワークやアルカイダと関係を断つことを望んでいるが、ハッカニ・ネットワークの指導者が閣僚ポストに入ったことで、諸外国から経済支援や人道援助をもらいたいタリバンの思うように事が進まなくなる可能性もある。バイデン政権は中国のウイグル人権問題を重視しているように、タリバン政権が如何に女性や子供の人権問題で改善を見せるかを注視しており、米国が納得する流れが見られなければ両者の間で歩み寄りはないかも知れない。タリバンにとって諸外国が求めるテロ組織との関係断絶は決して簡単なことではないことから、今後タリバンは難しい国家運営を余儀なくされる可能性がある。

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