誰が捨てたのか…伊豆半島の山の上の寺院から廃棄物混入の土砂が流出

 伊豆半島の山の上にある寺院敷地から廃棄物が混入した土砂が流出しているとして問題になっている。静岡県と地元の伊豆市は関係者に聴取するなどして調査に乗り出しているが、市によると寺院や寺院敷地に出入りしている業者はいずれも廃棄物の投棄を否定しているという。では、だれが投棄したのだろうか?

廃棄物が混入した土砂が流出した山頂の寺院。土砂は写真⇒の付近の山の斜面をくだって河川に流入しているようだ=静岡県伊豆市

 この寺院は、伊豆西部の戸田峠から西伊豆スカイラインを南下した山間の山頂にあり、周囲には富士山が眺望できる絶景スポットとして知られる達磨山がある。静岡県によると、今年6月に匿名の通報があり土砂の流出が発覚した。土砂は寺院の敷地から流出しているとみられ、近くを流れている柿木川まで流れ込んでいるようだ。伊豆市によると、土砂にはプラスチックや瓦礫、鉄筋やガラスなどの廃棄物が混ざっていた。この寺院は平成12(2000)年に本堂が消失し、現在、本堂跡地とみられる敷地は更地になっている。寺院敷地内には搬入されたとみられる盛り土もあることから、県や市は寺院関係者や盛り土の搬入業者に事情を聞いたが、いずれも土砂の投棄を否定したという。

 この寺院を運営する宗教法人の役員を務めている男性によると、敷地内の倉庫を取り壊して仮本堂にする計画があり盛り土の搬入を行ったが、工事は小規模なもので土砂が流出するような大規模な造成工事は行っていないという。また、この男性は「2年前にも同じようなことがあり(特定の業者を)警察に訴えて捜査も行われたが、産業廃棄物とは認められず不起訴処分で終わった経緯がある。管理が不十分で申し訳なく思っているが、我々は被害者。役員の中に今回の件と関係している者がいないか調査をしており、関与している役員がいれば訴訟を起こすつもりだ」などと話した。

 この寺院のホームページによると、寺院は原爆犠牲者と太平洋戦争の供養寺として昭和50(1975)年に開山、南太平洋などでの遺骨収集や韓国朝鮮人犠牲者の遺骨奉還などの取り組みをしてきたようだ。しかし、ホームページは平成25(2013)年3月以後の活動の記録はなく、更新もされていない。また、ホームページに記載されている連絡先は、電話もメールもつながらない状態だ。山頂には更地に隣接して納骨堂が建っており、その隣りに家屋建物もあるが寺院関係者が日常的に出入りしている様子はみられない。

 市は西伊豆スカイラインから寺院に至る道路の車両通行を禁止して不法投棄車両がないか監視している。これまでに不審車両は確認されていないという。住民は「昔からあったお寺ではなく、馴染みもないのでどのような事情なのかよくわからない。川の水などに影響が出ないか心配だ」などと話していた。県と市では引き続き関係者への調査を進めるとともに、流出した土砂による環境への影響がないか調べている。

                              (編集部)

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