アコギすぎる!?ヤフーニュースがジャーナリズムを殺す日

新聞、雑誌など、オールドメディアの苦境が著しい。部数や売上、広告費など長期的な右肩下がりの傾向に歯止めがかかる気配はない。地方紙やスポーツ紙、週刊誌も廃刊の危機に瀕し、大手も例外ではない。これらのオールドメディアが頼りにしているのが、外部のメディア各社の記事を転載配信する「ヤフーニュース」などのポータルニュースサイトだ。(山場豊信)


メディア関係者が語る。

「報道各社も自社メディアはありますが、ほとんどのアクセスの流入はヤフーニュースなどのポータルサイト経由です。収益的にはヤフーニュースやスマートニュースに取り上げてもらい、記事下部の『関連記事』の直リンクで自社サイトに飛んでもらって初めて広告費が発生する仕組みです。もちろんヤフーニュースでのアクセスでもPV単価はいただけますが、これが雀の涙。1PVあたり、0.02~0.03円程度しかありません。100万PV稼ぐようなバズった記事でも数万円しか収入にならないのです。だから、いかに自社サイトに誘導するか、各社知恵を絞り出して争っているのです」


通常、広告費のPV単価は0.5円程度とされる。Yahoo!ニュースやLINEニュースを要するZホールディングスの決算によると、直近でのヤフーニュースなどのメディア事業における「ディスプレイ広告」の収益は年間1900億円程度。ヤフーニュースのPVは月間、220億PV程度とされ、LINEニュースやその他、Yahooのサイトの寄与分も考えると、PVあたり0.5円という数字はそう遠くない数字だろう。しかし、ヤフーニュースの記事の配信元にはその1/20程度しか支払われていないということになる。


「しかも、アコギなのは記事内のリンクは禁止、関連記事はタイトルだけのリンクですが、最近はその下にまたヤフーニュース内の記事が画像入りであり、流出を食い止めようという意図も見える。他人のふんどしでどこまでガメついんだと思いますよ。しかも、リンクで飛んでくるのはポータルサイトの1割程度です。つまりYahoo!ニュースで100万PVを取っても、自社サイトでの広告費に貢献するのはそのうちの10万人程度に過ぎません」(前同)
要するに、ネットニュースで発生する広告収益の大半は一部自社制作の記事を除き、取材も記事も作らないヤフーニュースが得ていて、その大部分が次の取材経費として還元されることなく、ソフトバンクの投資マネーへと消えている構図なのだ。


もっとも、Yahooにしてみれば、「載せてやっているだけ感謝しろ。嫌なら出ていって構わない」という感覚だろう。確かに、世間のニュースの情報収集の動線を掴んだのは企業努力によるもので、メディア各社にしてもヤフーニュースに載らないと、自社への誘導もできないからありがたい存在だ。ユーザーにしても、ポータルニュースサイトで各メディアを同時にチェックできるのは便利だ。


ただ、そうは言っても、新聞や雑誌などの発行売上が細る昨今、置き換わるようにして出てきたネットメディアの収益が、ヤフーなど大手ポータルサイトに持っていかれたのではたまらない。このため、影響が出ているのが取材経費だ。

全国紙記者が語る。

「特に紙メディアはリストラの話しか聞きません。経費をかけられるのは今や週刊文春くらいで、文春すらいつまで持つかも危ぶまれています。一本あたりの有料記事もほとんど課金されないと聞いています。近年、新聞や雑誌は出張や会食の経費が削られ、ネタも取れませんよ。収益源が貧弱なスポーツ紙は取材して、一本の質の高い記事を書こうとするより、TVやユーチューブを見てコタツ記事を大量に書くように言われているそうで、今や芸能会見などの取材にはバイトが行っていますよ。大手新聞社は不動産収益でなんとか凌いでますが、それもいつまで持つのかわかりません。我々がいなくなれば、誰が現場に取材にいくんでしょうね。アメリカでは新聞のない地域は腐敗が多いとされているので、日本も今後どうなるか」


問題は記事のポータル化ではなく、広告収益の取り分のバランスだろう。いくらなんでも1/20はやりすぎではないのか。実は今後、問題になる可能性もある。

「2019年から公正取引委員会ではデジタルプラットフォーマーの独占禁止法・競争政策上の問題の調査を開始しています。現在、問題視されているのはアマゾンや楽天に代表される、ECのショッピングモールや食べログ、ぐるなびなどの飲食ポータルサイトなどです。Yahoo!ニュースなどのポータルニュースサイトも同質の問題を孕んでいると、みれなくもないので、今後の当局の出方には注視したいですね」(法曹関係者)


一方で、YouTubeに推されっぱなしのTVでは一部、盛り返す動きもある。民放各社が共同で立ち上げたTVerは再放送などを行なっているが、毎年右肩上がりの成長を続けているのだ。そこで、だ。

「足並みは揃わないのですが、新聞や雑誌など紙媒体が組んで、独自のポータルサイトを立ち上げ、既存のヤフーニュースなどポータルサイトへの配信を止めれば、状況は逆転するはずですが・・・」(前出のメディア関係者)とはいえ、そんな構想はなかなか聞こえてこない。当分はYahoo!ニュースが世論を作っていく時代は続きそうだ。

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