スーとした喉越しにほのかな甘みも…国内産ハッカを使用したハイボールとは

 ハッカで思い出すのはお祭りの縁日で売っている、吸うと甘くてスースーするハッカパイプ。ハッカパイプは名称からハッカが使われていることがわかるが、実はハッカは多くの食品や香料、そして医療や健康分野の商品などで使われている。北海道にはハッカを売りにしたお酒もあるという。どんなお酒なのだろう?

滝上町産ハッカを使用したミントハイボール

 セイコーマートは北海道で1000店を越す店舗があるコンビニエンスストア。北海道でコンビニと言ったら、ほぼセイコ―マートのことを言うらしい。酒店からコンビニになった店舗が多く、酒類販売に強みのあるコンビニチェーンだという。そんなセイコーマートで販売されているのが、ハッカを原料としたクラフトジンをベースにしたハイボールのミントハイボール。ハッカとハイボールの組み合わせはいかがなものかという気もしたが、飲んでみると喉越し爽やか、そしてなぜか懐かしい味わいでなんとも魅力的なお酒だった。ラベルには「北海道滝上町産ハッカ使用」と銘打ってある。ミントハイボールは、セイコーマートを展開するセコマグループが取り組んでいる北海道産食品の消費拡大とブランド力向上の取り組みの一環として開発・商品化されたお酒で、最大の売りが滝上町産のハッカを使用していることだ。

 滝上(たきのうえ)町は北海道オホーツク地域にある人口約2500人の町。この滝上町で現在、農家7戸が計約7ヘクタールでハッカを栽培している。「滝上町のハッカ栽培は明治時代の後半、開拓の歴史とともに始まり昭和11年頃には1100ヘクタールもの栽培面積がありました」と滝上町商工観光課。ハッカはシソ科ハッカ属の植物で、ミントとして広く知られているペパーミントもハッカだが、滝上町で栽培されているのは「ほくと」という和種のハッカと、和種ハッカとペパーミントの栽培品種ブラックミントを人工交配した「北海JM23号」というハッカだという。

北海道滝上町で栽培されているハッカ=滝上町商工観光課提供

 滝上町をはじめ北見市など北海道オホーツク地域では明治、大正期よりハッカ栽培が興隆し、最盛期には世界のハッカ生産の70%をも占めていた。しかし、戦後、ブラジル産や中国産の天然ハッカや合成ハッカとの競合、価格の下落などで作付け面積が減少し、今日、日本国内で使用されている天然ハッカの99%は輸入ハッカが占めている状況だ。そして、残り1%の国内産ハッカは、ほぼすべてを滝上町で生産している。いわば滝上町産ハッカは日本産ハッカの「砦」ともいえる存在なのだ。

 北海道産食品の消費拡大とブランド力向上を目指すセコマグループでは、2019年7月に滝上町産や北見市産のハッカを使ったチョコミントアイスを開発して限定発売したところ好評を博したため、今年、新たに滝上町産のハッカを使用したミントハイボールの開発に乗り出し6月より発売を開始した。ミントハイボールは、ハッカの乾燥葉とスパイスのジュニパーベリーを原料用アルコールに漬け込み、そのアルコールを蒸留してジンを製造しているためジンそのものにハッカの香りがついているのが特徴なのだそうだ。さらにハッカを蒸留したオイルから作ったミント香料も原料に使用し、シークワーサー果汁の香りとともにスーとした喉越しとすっきりとした酸味、そしてほのかな甘みが口中に広がり、しかもどこか懐かしい味わいのお酒に仕上がっている。

 北海道滝上町産のハッカを使用したミントハイボールは北海道のほかセイコーマートのある茨城、埼玉で350ml缶(本体価格・北海道118円、他は128円)が販売されているほか、ネット通販のセイコーマートオンラインでは1ケース単位(計24缶、本体価格2832円)で販売しているので興味のある方は取り寄せて試飲されたし。味わい深いハッカのハイボールが堪能できる。

                     (フリーライター 三好達也)

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